『The Luncheon』by Somerset Maugham ①
かなり長い期間が経ってしまっている。もしも誰かが彼女の名前を言ってくれなかったら、気がつくことは、まずなかっただろう。
彼女は明るく私に話しかけた。
「あってからもう何年も経っていますね。なんて時が経つのは早いのかしら!」
誰一人、若返るなんてことはないものね。
私があなたにお会いしたときのことを覚えているかしら?ランチを誘ってくれたわね。
__覚えているかだって?・・・
20年前のこと、私がパリに住んでいたときのことだ。
私はカルチェラタンにある、墓地を見下ろす小さなアパートで命をつなげるほどのやっと生きていけるだけのお金をかろうじて稼いでいた。
彼女は私の本を読んで、それについて感想を書いてきた。
返事をして、感謝をした。やがて間も無く、もう一通の手紙を受け取った。そこには、パリを通過するので、私と話をしたいとあった。しかし彼女の時間は限られていて、自由な時間は次の木曜日にだけということであった。彼女はルクセンブルク公園で午前中を過ごすので、そのあとで『フォイヨ』でランチをいただけないか?ということだった