『俺様のマーニー ~脚本家編~』
お兄やんの言動をどう形容したらよいのか、わたしには判断しかねるので、辞典を引いて調べてみた。
【幻想】 現実にはありそうもないことを、まとまりもなく思いうかべること。思いうかんだこと。
(うーん、これは皆あることだろう・・・次!)
【空言(くうげん)】 ①事実でないうわさ。うそ。②口さきだけで、実行できないことば。
(おお!②がいいじゃないか!・・・「お兄やん!空言ばっかいってんじゃねーよ!」) 「おいマーニー!ボクは口には出してないぜ!」
(・・・ってなるな、ダメか・・・次!)
【自惚れ(うぬぼれ)】 自分の能力や姿かたちなどが、実際以上にすぐれていると自分独りで思いこんでいい気になること。おもいあがり。
【身の程知らず】 自分の脳力などの程度をわきまえないこと。また、そのさまや、その人。
(おお!そうそう!自惚れの身の程知らずだ!イイね、辞典イイね!・・・でも、なんか足りないんだよな。なんというか、お兄やんはもっと姑息なんだよね)
【僭(せん)する】 思い上がって身分・分量の上の人をまねる。おごって身分不相応なことをする。
(まあ、こんなとこかな。僭するって、かっこいい言葉だけど、こわいね!)
【怯懦暗愚(きょうだあんぐ)】 臆病で道理に暗く、おろかなこと。
(・・・ここまで云うのは、お兄やんに可哀想かな・・・(笑))
ととと、これだけ頭の中に入れておけば、お兄やんをいじめるのに事足りませんね!用意周到!
・・・・しかし・・・日本語って、けっこう悪口が多いんだね!(笑)まあ中国から来たものが殆どだけど。でも、だからこそ争い事が少なくてすむんじゃないかって思う・・・・・・
あっ!お兄やん来た!
「やあマーニー!あぁ、仕事疲れた・・・この仕事、一体だれの為になってるのかさっぱりわからない。向いてないよ、ボクみたいな人間には」
「お帰りお兄やん。そう。なら辞めたら?」
「簡単に云うなよマーニー!ボクはこれで食ってるんだ!それに、今ボクが辞めたら、皆に迷惑がかかる」
「そう。なら続けたら?」
「簡単に云うなよマーニー!ボクはこのまま一生何者にも成れずに可愛い奥さんとSEXもできずに年老いて死んでいくのだろうか?こんなはずではなかった・・・神様め!許さんぞ!」
「お兄やん、いつも『合理的に合理的に』とか僭したこと云ってるくせに、急に神様のせいにするの?」
「セン・・・?ナニそれ?・・・・・・まあ、いいや。とにかく!マーニー!ボク、脚本家になるよ!ドラマの脚本家になって、深夜枠からゴールデンに降りて武井咲ちゃん主演の月9の担当になるんだ!そんで、ドラマの打ち上げで咲ちゃんと初対面!ふふふ、そんで、そんで・・・」
「お兄やん、それは、幻想で空言って云うんだよ」
「そいつは違うねマーニー!ボクはこのことを現世の誰にも話してないし、第一、職場ではボクは誠実で真面目なサラリーマンということになっているんだぜ!」
「・・・だからね、それがダメだって云ってるんじゃボケ!!」
「まっマーニー・・・」
「お兄やんはそうやって世間では何事も面倒起こさず振る舞っといてパソコンの前では自尊心爆発させやがって、変態なんだよ!誠実で真面目?はっ?なに自惚れたこと云ってんじゃ!女性に積極的になれねーことを誠実だと?どこまで寝ぼけてんじゃい!挙句の果てに今日もまた本屋でちーとばかり難しそうな(実際は何の中身の無い)本買ってきて、どこまでも自惚れだな!それで脚本家だ?クドカン二世か?あぁ?つい先日小説家になろうとしてそれが信じられない程つらそうだとわかったら今度は台詞さえなんとかなりゃ大丈夫な脚本家だ?なめとんのか!向田邦子なめとんのか!おまえみたいに誠実で真面目だというバリア貼ってコミュニケーションもろくに取れず、人に惚れられたこともなければ必死に人を好きになったこともねー臆病人間が、何十万人と毎週観てくれるテレビドラマを書けるわけねーだろぼけ!!・・・・・・・(あっ)この怯懦暗愚の童貞野郎が!!!!!!!」
「・・・・・・・」
「(あっ・・・・いいすぎた・・・・)」
「うっ・・・・・」
「って!国語辞典に書いてあったよ!」
続く・・・・・・・・のか?